桜餅 ~関東風と関西風~
桜の季節になると、塩漬けの桜葉で包まれた桜餅が登場します。
関東の桜餅といえば小麦粉を原料とした生地を薄くのばして焼き、こしあんをくるんだ反物風のものが主流です。一方、関西では少しつぶつぶのある生地であんをくるんだ「道明寺」とよばれる菓子をさすのが一般的です。
最近では関東でもよく見かけるようになった「道明寺」ですが、あれを「ぼたもちの親戚」と思っていた関東人も多いかもしれません。じつはこの「道明寺」、ボタモチではなく、道明寺粉というこなを使った繊細なお菓子なのです。
その昔、大阪の道明寺という寺で作られていた干飯(ほしい)がその起源といわれ、もち米を蒸してから乾燥させ、粉砕して粉にしたもので、他の粉より粒子が荒いのが大きな特徴です。この道明寺粉を水に漬け、もどしてから蒸すとつぶつぶの食感を残したままやわらかな生地となるのです。
さて、東西を問わず話題になるのは、あの塩漬けの桜葉をどうするかということ。「食べる前に取り除いてしまう」という方もいるようですが、どうぞ餅と一緒に召し上がれ。葉の塩気があんの甘味を引き立てて絶妙なおいしさになること受け合い。一層この菓子のファンになるに違いありません。