ところてんと寒天の関係
関東では醤油と酢とからしをたっぷりかけていただくのがおいしいところてん。関西では黒みつをかけることも多いようです。どちらにしてもつるりとしたのどごしが暑気払いにはもってこいですね。
ところてんがテングサという海草から作られているのはご存じでしょう。テングサを一晩水に浸たしてアクを抜いてから煮溶かし、一晩おいたあとろ過して木枠に流し込み、固めて切りわければできあがりです。
ところてんの歴史はとても古く、鈴木晋一氏は『たべもの噺』(小学館ライブラリー)の中で、平安時代以前にすでにところてん屋が存在していたのではないかとしています。だとすると、千年以上にわたって食べ続けられている食べ物だということになります。「心太」と書いて「ところてん」と読みますが、「こころぶと→こころてい→ところてい」と変化していって、ところてんと読まれるようになったのは江戸時代初期の頃だそうです
さて、ではそのところてんを凍結、乾燥したものが「寒天」となるのを、ご存じでしたか?寒天とは「寒ざらしのところてん」を略してついた名だそうです。
寒天は「錦玉」「こはく」とも呼ばれ菓子作りには欠かせない凝固材料です。他の素材と良く溶け合い、ほどよく凝固し、和菓子に様々な表情をもたらしてくれる点において他に変わるものはありません。羊かんをはじめ、様々な錦玉かん、こはくかんに使われていますがその透明感を活かして、特に夏にはもっとも活躍する素材です。
寒天は長野県、京都府、岐阜県を中心として各地で作られています。海の幸を山奥で加工する理由は、凍結、乾燥を繰り返すその製造行程に、朝晩の冷え込みの厳しい山地がもっとも適しているからだそうです。