月見団子は減ってゆく?
団子は米や麦の粉を水で練ってから丸め、蒸したりゆでたりして火を通したものの総称です。餅とならんで、古くから神様や先祖に供えられることが多く、神聖な食べ物として人々の生活の中に根づいてきました。また、「団子に目鼻」「団子っ鼻」「花より団子」などなど、ことわざに多く登場することでもいかに庶民の生活に密着してきた食べ物であったかを伺い知ることができます。
花見団子、みたらし団子、草団子、彼岸団子などを始め、ひとくちに団子といっても様々な種類と形がありますが、ここでは月見団子にスポットをあててみましょう。
お月見には、十五夜(陰暦8月15日)と十三夜(同9月13日)とがあり、十五夜を見たら必ず十三夜も見るのがよいといわれていましたが、今はそれらがひとつになり、9月の満月の夜ににお月見をすることが多いようです。ススキを飾り、収穫した果物や野菜をかごに盛る。そして三宝に真っ白な団子をピラミッド型に積み上げた風景は、なんとも風情があり、日本の秋を象徴するものとなっています。
昔から月見の団子はおやつとしてではなく、お供えのためだけに作られたもので、水と粉だけで丸めたものでした。供えているあいだに人に見られずにその団子を食べると健康になるともいわれて、団子の山がいつのまにか減ってゆくというおもしろい風習も残っているそうです。
十五夜は別名「芋名月」、十三夜は「豆名月」とも呼ばれます。関東では丸い団子ですが、関西で里芋のように先のすぼまった団子を供えることになっています。これは芋名月に里芋を供える風習があったからだといわれています。