鏡餅と鏡開き
お正月に大小の丸い餅を重ね、年神様へのお供えとして神前や床の間に飾るのが、鏡餅です。その昔、鏡はみな円形で、魂を象徴する神器だったことから、丸い餅を供えて生命力を授かるようにと、鏡餅と名付けられたのです。
三宝の上に半紙を敷いて、裏白の葉を白い方が見えるように置き、大小の丸餅の上にみかんや橙をのせるというのが一般的な飾り方ですが、地方やその家々によっては昆布を敷いたり、伊勢海老、串柿をあしらったりといろいろあるようです。添えられる飾りにはそれぞれ意味があり、その代表的なものをあげてみました。
橙(だいだい)・・・・一度実がなると、冬に黄色みを帯びて熟しても翌夏にはまた緑色に生まれ 変わって7年は落果しないといわれ、家族繁栄と長寿のしるしとされる。
裏白(うらじろ)・・・常緑のシダで左右の葉が対となっており、夫婦円満を意味する。また、古 い葉が落ちずに新しい葉を生ずることから家族の繁栄を願う気持ちも込め られている。白を上にして飾るのは「裏を返しても心は白い」と清浄潔白を表わすためといわれる。
串柿(くしがき)・・・柿は長寿の木であり、「幸せをかき集める」などといわれ縁起物とされて いる。
四手(しで)・・・半紙に切り込みを入れて稲の穂をかたどったもので、豊作を願う神事に使われていたものが、清浄・神聖を表わすものとして神前に飾られるようになったといわれている。
お正月の間神前に供えていた鏡餅を下げ、割っていただく行事を鏡開きといいます。縁起ものなので刃物を使わず、手や木鎚で割って小さくし、このことをおめでたく”開く”と表現します。
細かくした餅は、お汁粉や小豆がゆに仕立てていただきます。また、ざるに広げて3~4日乾燥させたものを低温の油で揚げて塩や醤油をまぶせば、おいしい揚げおかきができます。