節分にはなぜ豆をまく?
節分とはそもそも季節の別れ目のことをさします。すなわち立春、立夏、立秋、立冬の前日をそれぞれ節分といていたのですが、いつの頃からか立春の前日の節分だけが強調されるようになり、その日が一年の境目と考えられるようになりました。その締めくくりの行事が「豆まき」です。
豆まきの風習は中国から伝わった「鬼やらい」という儀式に由来しています。これは疫病や災害を「鬼」にたとえ、弓矢で追い払う行事ですが、いつの頃からか「鬼の目を打つ」=「魔目」(まめ)となり、豆をまくようになってきたのです。
ところで豆は煎ってからまきますがこれはなぜでしょうか?
その昔、佐渡に鬼が住んでいました。神様が鬼退治にやってきて鬼に言いました。
「夜のうちに金北山に百段の階段を作ることができればそなたの勝ちだが、それができなければここを出て行け」
鬼は必死で階段を作り、九十九段まで階段を築いてしまいました。神様はこれでは鬼の勝ちになってしまうとあわてて鶏の鳴き声を真似しはじめます。するとまわりの鶏たちもいっせいに鳴き始め、鬼は朝になってしまったと降参したのです。しかしあと一段というところで負けたとくやしがった鬼は、「豆の芽が出る頃にまた来るぞ」と言い残して去っていきました。そこで神様は豆の芽がでないよう人々に豆を煎ることを命じたというのです。
なるほど。面倒がらずに豆は必ず煎ってから蒔きましょう。生命力旺盛な豆は、忘れた頃に押入れの隅で芽を出すことが本当にあるのですから。